2019年10月20日、南アフリカに準々決勝で敗れ、日本のラグビーワールドカップが終わりました。しかし、アイルランドやスコットランドといった強豪国を破っての予選リーグ4戦全勝や、初のベスト8進出という快挙は、日本国民に勇気を与えました。実際、予選最終戦の対スコットランド戦では、瞬間最高視聴率53.7%と軽く紅白歌合戦を上回りました。いかに日本国民がラグビーJapanに注目していたかがよく分かります。

 しかし、日本国民が単にラグビーJapanの躍進に注目していただけとは、私には思えませんでした。ラグビーJapanには、何か人の心を揺さぶるものがあったのではないかと思っています。今回は私なりにラグビーJapanを分析し、まとめてみたいと思います。

ラグビーというスポーツの特性

 すべての運動には、基本的に3つの特性があります。ラグビーというスポーツの特性を考えると、そこに人の心を揺さぶるヒントがあるかもしれないと思いました。少し勉強しましたが、素人なので過不足や間違いがありましてもご容赦ください。

➀機能的特性(運動を行う者の欲求や必要を充足する機能に着目)・・・
ゴール型のスポーツで、1チーム15人計30人が、1つのボールを手に持ったり味方にパスやキックしたりし、身体接触を伴いながら仲間と連携(コレか!)し、相手コートに侵入して攻防を楽しむ特徴があります。

②構造的特性(運動の技能的構造に着目)・・・
個人技能[ハンドリング、キッキング、ランニング、タックル、セービングなど]と集団技能[スクラム、ラインアウト、モール、ラックなど](コレか!)とがあり、相手のゴールラインを超えてトライを取り、ゴールポストにコンバージョンを狙い、一定時間内に相手チームより多くの得点を競い合うゲームです。

③効果的特性(運動の身体的効果に着目)・・・
様々な状況に応じたボール操作や、瞬発力、筋力、筋持久力、敏捷性、判断力などを高められる効果があります。また、試合終了を“ノーサイド”といい、敵・味方の区別なくお互いの健闘をたたえ合う精神を培う(コレか!)ことができます。さらに、“One For All All For One”(一人はみんなのために、みんなは一人のために)という言葉があるように、自主性や協調性、貢献や共生といった精神を学ぶ(コレか!)ことができるスポーツです。

 このようにラグビーの特性を考えていくと、他のスポーツにはない特性が見えてきます。まずは、「身体接触を伴う」ことで、またそれが「仲間のために痛みに耐えて踏ん張る」ということが挙げられると思います。選手の様子を見ていると、ほとんどの選手が身体中にテーピングやサポーターを巻いています。試合後には、顔は赤く腫れあがり傷だらけです。それでも、仲間のために身体を張り、仲間を信じてプレーをするのです。そんなところに心を動かされるのかもしれません。また、試合が終われば敵も味方もなく称え合う「ノーサイドの精神」も、やはりテレビ越しにも伝わるものがあります。

ラグビーJapanのスピリット

 ラグビーというスポーツを抜きにしても、このラグビーJapanの選手たちから伝わってくるものもあると思います。一番感動するのが、試合後の円陣です。単に円くなって集まっているのではなく、しっかりと肩を組み、全員の心が一つになってそこにあることが伝わってきます。これは、選手たち一人一人のスピリットに他なりません。インタビューで選手たちが話していました。「この日のために、すべてをかけてやってきた。」「誰よりもやった。やってきたことを信じている。」「このチームならできる。成し遂げられると信じている。」みんなが同じ気持ちなのでしょう。また、「One Team」(ワンチーム)という言葉も聞かれました。“One For All All For One”(一人はみんなのために、みんなは一人のために)という言葉が、単なる言葉だけのものではないことが伝わってきました。南アフリカに敗れた試合後の円陣は、特に印象に残っています。これまで以上に強く肩を組み、みな涙を流しながらキャプテンの話を聞いていました。観客も泣いていましたし、私もとても感動しました。

最後の円陣を組むラグビーJapan

ラグビーJapanから学ぶ

 今回、ラグビーJapanからは、試合での勝ち負け以上のメッセージを感じました。『痛みに耐えて我慢すること』『仲間を信じること』『仲間のために自分が貢献したり犠牲になったりすること』『相手を思いやること』『全員が同じ目標に向かって心を一つにすること』などです。これらは、今の日本が失いかけていたものかもしれません。しかし、これらのメッセージに胸が熱くなるのは、やはりこれらが大切なことだと無意識に心や身体が反応したからではないでしょうか。日本の敗退が決まってからの試合後に観客の方々が全く帰らなかったことも、多くの人がこのラグビーJapanから様々なことを感じ、感謝の思いがあったからなのでしょう。
 日本に、まだこれだけ心があり頑張っている人たちがいる。まだまだ日本も捨てたものではない。ラグビーJapanからもらったメッセージを胸に、子ども達のために、日本の未来のために、これからも教育に携わっていこうと思うことができました。ありがとうラグビーJapan!そして、お疲れさまでした!

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