よく教員は研修などで、『褒めの実践』なるものを受けることがあります。内容は簡単です。とにかく相手を褒める。しかし、これが以外と難しい。これは学校の現場はもちろん、家庭でも子育てに生かせることだと思います。今回はこの『褒める』ということに注目していきたいと思います。

褒めの実践

 先にも言いましたが、『褒めの実践』とは、「とにかく相手を褒めること」です。例えば、目の前にいる人を思いつく限り褒めまくる。“笑顔が素敵だね”“話を聞いてくれてありがとう”“今着てる洋服素敵だね”“一緒にいて楽しいよ”など、どんなことでもいいので相手を褒める。今4つの例を挙げるのも結構大変でしたが、この訓練が相手を肯定的に受け止める心構えを養うと言います。いつもむすっとしている方、相手をなかなか褒められない方、お子さんを肯定的に受け止められない方、ぜひ試してみてください。

 また、もう一つの『褒めの実践』があります。それは、「その相手のネガティブに捉えている部分をマイナスな言葉ではなく、プラスの言葉で表現する」というものです。例えば、“落ち着きがない人”のことを“いろいろなことに興味関心が向く人”と表現したり、“消極的な人”のことを“思慮深く慎重な人”と表現したりすることです。言い方次第で、一見マイナス面のような特徴もプラスに考えることができるということです。これも学校で子どもを見取る際には大切な見方・考え方です。もちろんご家庭でも、お子さんの見方を変えてみるいいきっかけとなるのではないでしょうか。

褒めの効果

 褒めることは、基本的には良い効果があるとされています。相手を褒める称賛するなどのいわゆる外発的動機付けによって、やる気や意欲などのいわゆる内発的動機が高まる現象は、『エンハンシング効果』と呼ばれ、その効果が認められています。つまり、叱る、無理やりさせることよりも、褒める称賛する励ますなどの声掛けによって、やる気になることが証明されているのです。
 一方、褒めることについて、気を付けなくてはならないこともあります。それは、相手がすでに目的意識をもっていたり自発的にやる気になっていたりする、いわゆる内発的動機によって行動している場合です。この場合に、褒めたり報酬を与えたりして、いわゆる外発的動機付けをしてしまうと、かえって元々あった目的意識ややる気がなくなってしまうという現象が起こってしまいます。これを『アンダーマイニング効果』と呼び、せっかくの善意が逆効果になってしまうということです。相手がすでにやる気になっている時は、そっと見守るとか、その人の気持ちを尊重するとか、その時に応じた対応がまた必要なのです。
 確かに冷静に考えてみると、自発的に行動してやる気に燃えている子どもに、頑張っているねといって親がお小遣いをあげてしまうと、“ひょっとして、このまま頑張っていると、またご褒美がもらえるんじゃないか?”などと子どもは考えてしまいますよね。結果、本当の目的を見失ってご褒美目当てとなり、やる気を失ってしまうという一連の流れ、納得できると思います。

 また、「何を褒めるか」も大切な要素です。その相手の元々の「能力や結果」を褒めてはいけません。「努力や過程」を褒めます。能力や結果を褒めると、自分の能力に甘んじたり結果のみを気にするようになってしまい、やる気を失ってしまいます。努力や過程を褒めると、頑張った行為に注目するようになるので、過程をふり返ってフィードバックしてり努力を大切にしようとして、結果やる気を高めることに繋がります。やみくもに褒めるのではなく、「努力や過程」を褒めることをぜひ意識してみてください。

さあ、始めてみよう!

 普段から相手とよい関係を築いたり、相手をより理解しようとしたりするためには、まず『褒めの実践』を心掛けましょう。また、相手にやる気を出させたりするためにも、積極的に相手を褒めたり認めたりしましょう。でも一番良いのは、主体的に進んで行動することですから、そうなっている場合にはそっと見守り、その人の気持ちを尊重しましょう。そして、タイミングを見ながら、その人の努力や取り組みの過程を褒めたり認めたりしてあげましょう。きっと何かしらプラスの効果が表れるだろうと思います。

 つらつらと述べてきましたが、これらはもちろん簡単なことではありません。『褒めの実践』でも、実際にやってみるとその難しさが分かると思います。しかもタイミング良く自然な感じで褒めるとなると、これはもう経験がものをいうと思います。まずは、出来そうなことや急いで求められていることに注目して始めてみてください。少しずつ慣れてくると思いますし、相手もそんな貴方を“褒めてくれる人、認めてくれる人”として認識するようになり、信頼関係が強くなってくるのではないでしょうか。

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