ある新聞記事に目が留まりました。「教員が知識を伝え、子ども達が一斉に習う。そうした教育の在り方を見直そうという動きが各地で広がっている。」おお、ようやく来たか!と思いました。でも我が地域ではまだまだなんだろうな、とも思いつつ記事に目を通していきました。

イエナプランを報じる新聞記事

イエナプラン

 1920年代にドイツ、イエナ大のペーターゼン教授が創始した教育モデルで、オランダでは60年代ぐらいから普及し始めた(教員採用試験の勉強で名前とシステムぐらいは知っていましたが、今の現場では全く生かされていません)らしいです。オランダでも、当時は今の日本と同じような画一教育が主流で、留年者「落ちこぼれ」の多さが問題となっていたようです。
 イエナプランの特徴の一つは、全体の進度についていけない「落ちこぼれ」が原則存在しないこと。いつ、何を、どう学ぶかは自分で計画して決め、教員がアドバイスする。つまり、一人一人進度が違って当たり前という考え方なのです。また、分からない子には、教員だけでなく年上の子が教えるという「異年齢集団」が基本です。教えられる側だった子は高学年に進むと今度は教える側になり、双方の立場を順に経験することで「出来ない子」も尊重できるようになると言います。
 さあ、すぐにイエナプランを導入しよう、と言いたいのではないです。イエナプランをはじめ様々な教育モデルがあり、学校や子どもの実態に応じて、もっと言えば教科や単元に応じて、教育の仕方を柔軟に変えていくべきではないかと考えています。

授業力の向上とは

 私が以前、都内の研究校にいた時、3人ですべての問題解決を行う「トリオ学習」や、総合的な学習の時間を子ども達とゼロから創り出していく「白紙単元」など、研究テーマを追究し様々なチャレンジ授業を行っていました。この頃は本当に充実していました。何より研究授業が楽しかった。チャレンジするのが楽しかった。そして、子ども達が生き生きとしていた。しかし、ベテラン教員の退職や若手教員の増加に伴い、“基本的な授業ができて初めてチャレンジ授業ができる”との結論に至り、校内研究は「一般的な授業力を高める」方向へと向かっていきました。とても残念な気持ちになりました。個人的に授業のスキルを磨きたいなら、それこそ個人でも出来ることです。自分で自分の授業をビデオ録画して見直したり、書籍等で学んだ取り組みを実践したり、ベテラン教師の授業を見学させてもらったりすれば(そんな時間もないくらい多忙なのも現実ですが)、スキルは高まっていくものです。

画一的な教育を見直す

 上の記事の「日本の教室の一例」にもあるように、現在の一般的な公立学校の授業では教師対一斉が主流だと思います。少なくとも私の地方ではそうです。もちろん、何か全体に指示をして共通理解させたい授業であれば、これがベストでしょう。しかし、そのような授業ばかりではもういけない、という意見は以前のテーマでも述べました。画一的な教育には限界があります。これからの時代を生き抜くのに必要な力、それが身に付かないこと、育てられないことがでてきます。まずは、今後子ども達に必要となる力はどのようなものかを子ども達の実態を見ながら全員で考え、子ども達にどのような力を身に付けさせたいのかを明確にし、その力を身に付けさせるためにはどのようなことをすればいいのか、これまでの仕組みで本当に力を付けさせられるのか、そのために改善できることは何かなど、根本的に考え直す必要があると思います。

 そういう意味では、このイエナプラン導入の新聞記事は、教育界のプラスに働くだろうと私は思います。このような動きが各地に広がっていき、画一的な教育から脱退した学校からの成功事例が報じられることを、首を長くして待っています。いや、自校でもやってみたい!

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