偉そうに“初任教師の心得”と言っていますが、私は初任者の時に大失敗しています。どれくらいの大失敗かと言うと、9月末には担任を降ろされ、適応障害を患って病休を取っています。初任者は試運転期間ですから、初任期間での病休は、2年目からは不採用となる可能性すらありました。
 しかし、現在はこうして無事に教員13年目を終えようとしています。初任者時代に私がした失敗と、そこから学んだ“すべきこと”を、多くの新たに先生となる皆さんにお伝えしたいと思います。

まるねこ先生の初任当時のベース

 まず、当時私はおそらく自信があったのだと思います。それまでキャンプリーダーとして数多くのキャンプを企画・運営し、多くの子ども達をキャンプ活動を通して育ててきた自負がありました。さらに、県からの認定を受けて「エキスパート指導者」として、高校サッカー部の外部指導員を経験し、万年初戦敗退のチームを35年ぶり県大会出場へと導いた経験がありました。
 また、私は一年間塾の講師も経験しています。これは私が採用試験に不合格だった時に、臨時採用を受けず、“どうせ将来的に教師になるのなら、この一年は経験できないことをしておこう”と考えたからでした。つまり、全くの未経験・無知の状態で教職の現場に入ったのです。

 この2つのベースが私にはありました。もちろん、これらは決して悪いことではないと思います。ある程度自信がなくては子ども達の前に立つことや保護者対応なんてできません。また、教師以外の経験を積むことは、むしろ今でも推奨したいことです。
 ですが、職場環境や心の持ちようによっては、これらの自負が裏目になることもあるということです。これから、私の失敗について紹介していきます。

まるねこ先生の失敗

➀自分だけ目立とうとした着任式

 私は、一発目の第一印象が大切だと考え、着任式での全校児童を前にした自己紹介を練っていました。そして、他の先生方が普通一般のあいさつをする中、私はマイクを使わずに「まるねこ先生のマニフェストー!ひとぉぉぉーーーつ!元気いっぱい皆さんと遊びます!!!ふたぁぁぁーーーつ!、、、」などと自己紹介をしたのでした。私があいさつを終えて元の場所に戻る時、先生方の表情は真っ二つに分かれていました。大うけしている男性の先生方と、しらーっと冷めた目で私を見ている女性の先生方でした。

②指導教諭に聞けなかった日々

 しらーっと冷たい目で見ていた中に、私の初任者担当の指導教諭の先生はいました。スタートから嫌われていたこともあると思いますが、私はその指導教諭の先生と上手くソリが合いませんでした。文字通り何一つ分からない状態の私に、指導教諭の先生からは何も教えてはもらえませんでした。今思えば、私を試していたのだと思います。このお調子乗りは、この状況でどうするのか?と。

③自分の考えで突っ走った結果のミス

 そうとも知らず、私は自分で考えて見様見真似で突っ走っていました。これが最もバカな行為でした。無知の人間が何も聞かずに務まるほど教職は甘いものではありません。結局私は、やっていなくて叱られ、ミスをして叱られ、常識はずれな行動で叱られ、職員室でも子どもの前でもお構いなしに叱責を受けました。

まるねこ先生から初任教師になる皆さんへ、『初任者にとって大切なこと』

 結局、私は成績処理をする段階で(前期後期の2期制の学校)、すでに詰んでいました。何も聞けない、聞けないから分からない、分からないから知らない、知らないからやっていない、やっていないから休日出勤、ほぼ無休状態で心身共に病み、私は9月に倒れました。

 新しく教師になる未来ある皆さんがこうならない為に、私が考える基本的な一年の乗り越え方をお伝えしたいと思います。私の独断で大切だと思う順に紹介していきます。第1位から第6位まで紹介します。

【第1位】とにかく何でも聞く

 “こんなこと聞いたらダメかな?”なんてことは何一つありません。少しでも心に引っかかったら聞いてください。「今トイレ行きたいんですけど、行ってもいいですか?」ぐらい低レベルの質問でも聞いていいです(笑)。そもそも先生という人種は、『教えることが好き』『頼ってもらえると嬉しい』人種です。しかし、中堅やベテランの我々から次々に話しかけるのは少し憚られる。だから、あたかも気にしていないような態度をとっている人もいるかもしれませんが、全く違います。実は聞いてほしい、頼ってほしいのです。構いませんから、どんどん質問して頼りましょう。

【第2位】言われた通りにやってみる

 学校の先生になろうと志す程の皆さんですから、私のように様々な経験をしていたり、スキルをもっていたりすることでしょう。“ここはこうしてみたいな”とも思うこともあるでしょう。それは悪いことではありません。むしろもっと思考し、よりよいものを創り出そうとすべきです。しかし、先輩の先生があなたの為に「ここはこうした方が良いよ。」と教えてくれたことは、とりあえずやってみましょう。上手くいかなかったり、自分には合わないと感じたりしたら、正直にそのように相談すればいいと思います。まずは言われた通りやってみることです。思わぬ良い成果を生むかもしれませんし、何より人間関係が良くなるはずです。

【第3位】絶対に無理をしない

  初任者に限らず、若手の先生は、おそらくベテランの先生方よりも仕事に時間がかかってしまうことでしょう。それは仕方のないことです。ある程度の残業も仕方がないと思います。しかし、だからと言って限度を超えて労働する必要はありません。頑張りすぎれば、ゆとりもなくなり、笑顔もなくなります。この2つがないのに子どもの前に立って、良い教育ができるはずがありません。頑張れば頑張るほど駄目になっていくなんて、全くのナンセンスです。また、自分の限界は知らずのうちに超えていることがほとんどです。ですから、“ああ、疲れたな”と感じたらさっさと切り上げ、明日笑顔で過ごせるようにするべきです。

【第4位】甘えたり頼れたりする人をもつ

 当時私は完全に一人ぼっちでした。全く知らない土地での採用となったこともありますが、外に関わりをもとうともしていませんでした。親でもいい、友達でもいい、同期の先生でもいい、趣味での知り合いでもいい、もしもいないのであれば、本の著者でもいい、今の時代ならSNS上の人でもいいと思います。とにかく、甘えられたり頼れたりできる人間・時間・空間をもっていることが大切だと思います。そこで、一旦気持ちや頭をリセットできるからです。また、自分を客観的に捉える機会ももてると思います。ずっと緊張しっぱなし、疲労しっぱなしでは、絶対に長続きしません。

【第5位】思考を停止させない

 第2位の言われた通りやることと矛盾を感じるかもしれませんが、自分で考え学び続けることも大切です。積極的に研究会などに参加したり、教育書や自己啓発書を読んだりして、『自分の教育観』をもてるようにしたいです。ただ言われたことをその通りするだけでは、ともすると自分がない教師になってしまいます。自分がない教師の言動は、子どもには全く響きません。より良い教育とは何なのか?どうすれば目の前の子どもの目が輝くのか?など、いつも思考し続ける教師であってほしいと思います。

【第6位】誰にでも謙虚に等しく対応する(決して職員室内の派閥に入らない)

 よく職員室には派閥(ないところは素敵な職場です)があります。つまり仲良しグループです。いつも同じ先生同士でコソコソと話をしている状況、これは良くありません。その良くない状況の中に巻き込まれてはいけません。どの先生にも、謙虚に、等しく対応するべきだと思います。特に私が大切だと思うのは、『用務員さんと事務さん』です。この方々は、学校を様々な形で支えてくださっているにも関わらず、あまり表に出ることはありません。そして、学校の様子、子ども達の様子、先生方の様子を本当によく見ています。ぜひ用務員さんと事務さんにも、先生方と同様に、謙虚に、等しく対応してください。

おわりに一言

 長くなってしまいましたが、以上のことをぜひ大切にして職務に励んでみてください。もしも、どれか一つでも出来ていなかったとしたら“黄色信号”です。二つ以上出来ていなかったら“赤信号”です。対人関係が上手くいっていないか、学級が上手くいっていないか、心身の健康に支障をきたしているか、いずれにせよ心配な状況です。全力で改善に力を注いでください。大丈夫です。誰もが上手くいっている訳ではありません。出来なくて普通ですから、安心してください。きっと改善されていきます。
 この記事が、初任教師の皆さんにとって充実した一年を送れる一助になっていれば嬉しい限りです。私自身も、改めて自分を見つめ直すことが出来て良かったです。人生は常に『初心忘るべからず』ですからね。お互い子ども達の為に、自分自身の為に、笑顔で教職の道に尽力していきましょう。

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