『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(著:小川大介 KADOKAWA)

頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て

 著者の小川大介さんは、大手進学塾で講師をした後、中学受験専門の個別学習塾を設立します。そして、延べ5000組の中学受験親子と面談し、アドバイスを行ってきた方です。

 そんな小川さんも、これまで私が幼児教育で紹介してきた方々が言っているのと同様に、『確信するのは、子どもの能力を伸ばすために重要なのは「9歳前後までの育ち方」である。』と言っています。これまで様々な幼児教育書や子育て本を読んできて、このことは、どうやら紛れもない事実だと私は確信しています。

 その上で、『ちゃんと子どものことを見ているか?この時期の子どもに必要なのは、特別な教育ではなく、ありのままの子どもを「認め」「見守り」「待つ」ことだ。』と言っています。やはり本当に大切なのは、ごくごく基本的なことでした。

頭が良くなる3原則プラス1

 ここで言う“頭が良い”とは、テストでいい点が取れるということではありません。自分を偽ることなくありのままの自分を出すことが出来る『自分軸』がしっかりしていることを言います。これからの入試も、この『自分軸』重視の内容にシフトチェンジしています。
 では、どうしたら『自分軸』のしっかりした子に育つのでしょうか?それが「認める」「見守る」「待つ」の3原則、その上でのプラス「期待する」です。まとめます。

➀認める・・・
まず子どものありのままを受け止める。子どもの話を最後まで聴く。「そうなんだね。」と一度、受け止める。

②見守る・・・
見て、守る。まずは子どもをよく見ること。「あの子ならここまでは大丈夫。ここを越えたときのみ注意しよう。」という信頼とゆとりをもつ。ほどよい距離感を保つ。

③待つ・・・
決して“我慢”ではなく、「あの子は、これだけのことはできる子だ。」と信じて任せること。細かいことは言わず、自分の力で取り組むのを見ていてあげようという姿勢でいること。

+期待する・・・
親の期待で「現状維持バイアス」を乗り越えられる。背中を押してあげることで、子どもの生き生きする姿が想像できれば、それは良いこと。ただし、「認める・見守る・待つ」が出来ていないうちから「期待する」と、押し付けになってしまう。それは期待と言う名の虐待。

 実際に私自身も、ここ何か月これらを実践しています。特に意識して大切にしているのは、一番目の「認める」ことです。
 我が子は、言うことを聞かなかったり、意固地になり動かなくなったりすることがしばしばあります。そんな時は、まずありのままを受け止め、「そうなんだね。」と言って抱擁し、背中をトントンと優しく叩くようにしています。すると不思議なことに、急に言うことを聞くようになります!急にその場から動き出します!
 “受け止めてもらえた、分かってもらえた、認めてもらえた”という感覚は、4歳の娘にもちゃんと伝わり、こちらの意見も受け入れられるようになるのだなと実感しました。

頭のいい子の親は「否定しない」「与えすぎない」「焦らない」

 さらに、小川さんは、子どもを否定しないこと、子どもに与えすぎないこと、そして焦らないことが大切だと言っています。まとめます。

【否定しない】
 「~するな」という否定語は避けて、「~しよう」という肯定語を用いることで、子どもは受け入れやすくなる。
 また、子どもの悪い面・苦手なことを気にするより、良い面・得意なことに目を向けていくこと。これからの社会は、オールラウンドにできることより、何か一つ光る強みがある方が求められる。良い面や得意をさらに伸ばしていくことで、自分に自信をもち、『自分の世界』をもつようになる。

【与えすぎない】
 子どもに良かれと、将来のためにあれもこれもさせる親がいる。そのような子どもは、消化不良を起こし伸びないことが多い。
  例えば、習い事は、子どもが本当に好きなこと、夢中で取り組んでいることを一つ、多くても二つ、これで十分。“その習い事の時間、子どもはハッピーか?”が決め手
 子どもは何もしていない時にでも、周りの環境から刺激を受け多くのことを学んでいる。ぼーっとしている時にも、何かを考え、想像し、反芻し、身に付けている。ごく普通の日常生活でも、子どもにとっては大切な学びの時間なのである。

【焦らない】
 焦らなくて大丈夫。なぜなら、子育てに正解はないから。子育てに必殺技もない。上手くいったという事例も、たまたまその人に合っただけかもしれない。子育ては2勝8敗で十分。やはり大切なのは、ゆったりと笑顔で過ごしていること。

できることからやってみよう !正解はない!

 私自身、「認める」ことでは効果があった実感もありますし、“子育ては2勝8敗で十分”という言葉にもとても安心しました。
 この他にも、本書には多くの子育て術が紹介されています。まずは、自分やお子さんが出来そうなことから始めてみるのが良いと思いました。 そして、自分に、またお子さんに、ピッタリ合った子育て術を探していくというのがベストだと思います。

 子どもを認めて、見守って、待って、期待する。そして、子どもを否定せず、与えすぎず、焦らない。なんだか子育てって、ゆっくりとどっしりと、そして、ニコニコしているのが一番なのかなと思いました。
 迷った時、自信を無くした時などに、きっとまた読みたくなる本です。おすすめの一冊です。

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