『「やる気を科学的に分析してわかった」小学生の子が勉強にハマる方法』(著)菊池洋匡 秦一生

やる気を科学的に分析してわかった小学生の子が勉強にハマる方法

  本の帯に『「勉強しなさい!」は勉強ギライにさせる最強の方法です。』とありました。全く同感です。しかし、学校でも家庭でも、子どもに「やりなさい!」「やらなければならないことでしょ!」などと言ってしまうことがあるでしょう。これは更なる勉強嫌いの強化以外の何物でもないと考えていました。私が一番辛く感じるのは、学校から出される「宿題」です。「宿題」については、またいずれじっくりと考えていきたいと思うので、ここでは割愛しますが、とにかく私は、明らかに気持ちが乗らない、やる気がない子どもに対して、「やりなさい!」と言いたくなかったです。でも周りの先生方(特にベテラン)は、「させなきゃいけないこともある」と言います。それ本当?とよく考えていました。自然とこの本に手が伸びていました。

科学的・心理学的に裏付けられた学習モデル

  まず著者のお二人とも、中学受験経験者です。そして、その時の失敗者であり成功者でもあります。現在は、大手進学塾から落ちこぼれてしまうような子ども達の受け皿として、学習塾を経営されています。この塾では、大手のような「日々是決戦!」的なやり方ではなく、「勉強は楽しんでやるもの」を大切にし、科学的・心理学的に裏付けられた学習モデルを生かしてご指導されています。

その学習モデルこそ、『ARCSモデル』(アークスモデル)です。

Aは、Attention(注意)~勉強に「ワクワク」させること~ →子ども側に立って考えると「面白そう!」

Rは、Reason(理由)~勉強に「やりがい」を感じさせること~ →子ども側に立って考えると「役立ちそう!」

Cは、Confidence(自信)~「自分でもできそう」と思わせること~ →子ども側に立って考えると「できそう!」

Sは、Satisfaction(満足感)~「勉強してよかった」と実感させること~  →子ども側に立って考えると「やってよかった!」

学校や家庭での学習に生かせること

  こうやって見てみても、塾の指導者というよりは、教育者だなあと思わされます。学校や家庭で生かせること中心に、いくつか紹介したいと思います。

 【A】・親も子どもの前で勉強する(以前私も書きましたね)

   ・ドリルや自分の成長をゲーム化する(育成ゲームのようにする)

   ・ポジティブな行動にこそ目を向けて評価する

   ・時には、YouTube動画や学習アプリで、遊ばせながら学習させる

 【R】・内発的動機付けを刺激し、学習を自己選択させる

   ・「6つのやる気エンジン」(説明割愛)を子どもに合ったものから点火する

   ・自分の状況を自分の言葉で説明させ、自分を客観視させる

   ・子どもに情報を与え、目標は自分で決めさせる

 【C】・結果ではなく、努力した過程を評価する

   ・スモールステップで成功体験を積ませる

   ・「未来成功作文」(説明割愛)を書いて具体的な成功イメージをもたせる

   ・よくない結果を慰めるのではなく、改善につながるフィードバックを与える

 【S】・「褒める」「叱る」は、一貫性をもって「すぐに」「ぶれずに」行う

   ・他人と比較しないで、その子の成長を見る

   ・報酬思考(説明割愛)にならないようにしながら、適切に自分で報酬を決めさせる

   ・完璧主義ではなく、最善主義に立つ

所感

 今日からでもすぐに生かせそうかなというものが、一つ二つはあるのではないでしょうか。私自身は、「6つのやる気エンジン」や「未来成功作文」が大変勉強になりました。これらはすべて、子ども目線に立って考えられていると思います。やはり、大人の目線で子どもと関わると、子どもは離れていくことが分かりました。
 長くなりすぎるので詳細を割愛した内容が多々ありますし、これらはほんの一部です。またこれらを裏付けている科学的証明も記載されていますので、興味のある方はぜひ一読してみてください。

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投稿者

熱血!まるねこ先生

1980年生まれ、愛知県名古屋市出身。 静岡大学大学院教育学研究科修了。学習塾に1年勤務。 都内公立小学校で10年、地方公立小学校で3年勤務。 都内と地方の教育に対する考え方の違いに戸惑っていた中、世の中の急速な変化に対応できるのか(大人も子どもも)と焦りを覚え、なぜかブログを開始する。 趣味は、家族サービス、猫との戯れ、アウトドア、温泉、読書、寝ること。

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